命とむきあう　訪問診療奮闘記

Tさま（９１歳）

T様は、「早く家に帰りたい。やっぱり家がいい。」と毎日のようにつぶやいていました。
私は、その希望を叶えるために、自宅の環境を整え訪問診療、通所リハビリテーション、訪問看護のスタッフが連携を取り念願の自宅での生活がスタートさせました。
住み慣れた家に帰ると、笑顔が増えご家族との会話も弾むようになり、近所の方も昔のように遊びに来ていました。わずかな時間ですが、散歩もできるようになりました。楽しそうに生活するTさまをみて本来の姿に触れたようでした。
最後は、ご家族がオムツを換えてる時に家族の腕の中で眠るように旅立たれました。
ご家族からは、「最後の時を家族みんなで過ごせた喜び・介護の大変さよりも出来るようになった喜び・笑顔のもつ大きな力を感じました。 そして、家族みんなで”生と死について”深く考え、今という時の大切さや当たり前に感謝する気持ちになれ家族の絆が深まりました。というお話をいただきました。
その人らしい人生の最期のステージをどう生きるかについて本音でご家族と語れるような信頼関係を築くことでご自宅での生活がかけがえのないものにすることができる。 かかりつけ医としてもやりがいと感じた瞬間でした。ありがとうございます。感謝。